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最高裁判所第二小法廷 昭和43年(オ)1159号 判決

上告人

竹内新蔵

上告人

竹内由子

代理人

木村楢太郎

日置尚晴

被上告人

日本通運株式会社

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人らの負担とする。

理由

上告代理人木村楢太郎、同日置尚晴の上告理由第一点について。

竹内弘は正運転手として事故車を自ら運転すべき職責を有し、川野正昭に運転させることを厳に禁止されていたのにかかわらず、右禁止の業務命令に反して川野正昭に事故車を運転させたものであり、その際竹内弘は助手席に乗つていたものであること、川野正昭は本件事故発生の一〇日前被上告会社に入社し高松から大阪に転入してきたもので、大阪の地理を知らず、そのため正運転者の運転する車に助手として乗りこまされていたものであり、そして、同人は事故車のような三輪自動車をそれまで運転したことがなく、本件事故当日竹内弘から運転をすすめられたが、いつたん断わり、更にすすめられたため事故発生の数分前から運転席についたばかりで、地理が分らないまま助手席の竹内弘の指図どおり運転していたことは、原判決が適法に確定した事実である。そうとすれば、このような事実関係のもとにおいても、竹内弘は、事故当時本件事故車の運転者であつたと解すべきであり、自動車損害賠償保償法三条所定の他人および民法七一五条一項所定の第三者にあたらないと解した原判決の判断は相当である。引用の判例はこれと牴触するものではない。原判決には所論の違法はなく、論旨は採用できない。

同第二点について。

竹内弘は事故当時本件事故車の運転者であり、したがつて、民法七一五条一項所定の第三者にあたらないことは前記のとおりである。引用の判例は事案を異にし、本件に適切でない。原判決には所論の違法はなく、論旨は採用できない。

前記上告代理人らの上告理由(補充)一および二について。

所論の点についての原判決の認定判断は首肯でき、原判決には所論の違法はない。論旨は採用できない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。(草鹿浅之介 城戸芳彦 色川幸太郎 村上朝一)

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